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会長日記

東日本大震災・・10年・・・

「10年ひと昔」と言ったりすることもありますが、10年という年月が長いか短いか、その感じ方は様々でしょう。今日、東北地方の太平洋側に大きな被害をもたらした大震災からちょうど10年という区切りを迎えました。

思い返してみると昨年の「3.11」は流行初期の新型コロナウィルスのニュースがメインで、震災を振り返る話題は少なかったように思います。それから1年が経過して、新型コロナの感染で亡くなった方の数は昨日現在8,432人と勿論とても多い数ですが、10年前の震災で亡くなった方は、不明者やその後の関連死の方も含めると22,000人以上になります。

突然、家族を亡くされた方、家や財産を失くされた方、故郷を無くされた方、10年という時間が経過しても思い出すたびに大きな悲しみがよみがえることは、誰しも想像できます。「ともに悲しむと悲しみは半分になる」の言葉もあります。時間が経過してもこの悲惨な出来事を誰もが決して忘れてはいけない、そのためにも、マスメディアは年数で区切りをつけずに繰り返し問題提起をすることが必要だと思います。

今日の追悼式での天皇陛下のお言葉の中にも「・・・先月にはマグニチュード7を超える地震が福島県沖で発生しました。・・この地震は東日本大震災の余震と考えられており、このことからも震災を過去のこととしてではなく、現在も続いていることとして捉えていく必要があると感じます。・・・」と述べられています。

毎年思い出しては開く本です。今から50年前、昭和45年(1970年)に発行された本です。著者が東北三陸海岸をルポしながら綿密に調査されて書かれています。

明治29年(1896年)、昭和8年(1933年)、昭和35年(1960年)と繰り返し三陸地方を襲った大津波の記録です。多くの犠牲者や大きな被害を出すたびに、住民の津波に対する認識も高まり、さらに巨大な防潮堤をはじめとする施設の建設など対策が取られてきました。この本の最後には、この3件の大津波を経験した地域の長老の言葉で締めくくられています。

「津波は時世が変わってもなくならない。必ず今後も襲ってくる。今の人たちはいろいろな方法で十分警戒しているから、死ぬ人はめったにないと思う。」

この長老も、震災の5年前に亡くなった著者も平成の時代の悲惨な状況を想定することはできなかったということです。

人は常に謙虚に、かつ敢然と物事に向き合うことが大切だと改めて思う今日のこの日です。

社長